トランプ家族が暗号界に干渉：本来の「正本清源」が泥沼に陥ることに

原文タイトル：《Crypto's First Family Is Deepening the Swamp》

著者：Lionel Laurent、ブルームバーグ社の意見コラムニスト

翻訳：J1N、Techub News

アメリカのトランプ大統領の次男エリック・トランプは、今がイーサリアムを購入する良い時期だと考えており、彼のイーサリアムへの支持がコイン価格の短期的な上昇を促したと述べています。しかし同時に、今は政治家や規制当局が行動を起こし、トランプ家族とその関連者が積極的に推進している暗号通貨ビジネスに対して、より厳格な規制措置を確立する良い時期でもあります。彼らの家族ビジネスは急速に拡大しており、規制当局との間に深刻な利益相反が存在しています。

トランプ家族が単により友好的な規制措置を通じてアメリカを暗号通貨支持の道に進めたいだけではなく、彼ら自身もその利益を得ようとしていることは明らかです。トランプ家族が支持する分散型金融プラットフォーム「World Liberty Financial」は、約3.4億ドル相当のイーサリアムを含む暗号通貨の準備金を設立しています。ロイター通信によれば、トランプは数十億枚のメモコインを発行し、大統領関連の機関に対して約1億ドルの取引手数料収入を生み出しています。さらに、トランプの「Truth Social」プラットフォームも事業を拡大し、金融サービス分野に進出する計画を立てています。

これは普通の家庭の小さな投資ではありません。現在の現物価格を基に計算すると、トランプに関連する機関が保有するメモコインの帳簿価値は約149億ドルです。これらの数字が驚くべきものであるなら、そのリスクも同様に驚くべきものです。投資家や業界関係者がトランプチームを喜ばせるためにそのトークンを購入することで、最終的には権力の移転と腐敗現象が悪化することになります。同時に、これは道徳的リスクをもたらします。世界で最も権力を持つ人々とその親族がメモコインを推進し、そのリスクを負うことができると、より多くの人々が自分のリスク許容度を理解せずにメモコインに投資することになります。誰かがトランプに彼が保有するメモコインの価値について話すと、彼はほとんど気にせず「数十億ドル、それはただの小金だ」と返答しました。

したがって、エリック・トランプがツイッターで「イーサリアムは買う価値がある」と友好的に示唆したとき、彼は決して軽い気持ちで言ったわけではありません。彼が「あなたは私に感謝することになる」との言葉をX上で削除したとき、彼はそのことに気づいていたようです。偶然か意図的かは不明ですが、World Libertyは彼の考えを実行に移しました。トランプの関税の脅威が週末に売りを引き起こした後、そのプロジェクトアドレスは約5500万ドル相当のイーサリアムを増持しました。これは、同プラットフォームが大部分の準備金をCoinbaseに移転した後に行われたもので、彼らは売却計画を否定しています。この段階では、トランプチームが暗号通貨市場を収穫する陰謀論は成立しません。結局、トランプの関税政策は暗号通貨にとって好ましくなく、彼の息子のツイートが市場全体に与える影響も非常に限られています。しかし、これは新政府が就任してから3週目であり、「バナナ共和国」の雰囲気が非常に濃厚になっています。

（人々がある国を「バナナ共和国」と呼ぶとき、それはその国に深刻な政治的混乱と腐敗の問題が存在することを批判しています。）

民主主義国家は十分に長い間存在しており、政治的利益相反を防ぐための制度的な保障措置を確立しています。しかし問題は、当局がこれらの措置を実際に実行する十分な決意を持っているかどうかです。アメリカはウォーターゲート事件後に官僚の倫理と透明性の改革を推進し、2012年にはインサイダー取引を取り締まるための「株式法」を制定し、憲法以来存在する「外国利益条項」もあります。暗号通貨も規制逃れの口実にはなりません。EUの最新のデジタル資産規則には、インサイダー取引や市場の乱用に対する条項が明記されています。また、トランプが指名した元民主党議員タルシ・ギャバードも、関連規定を遵守するために保有する株式と暗号通貨を売却することに同意しています。

当局が効果的な実行と強化措置を講じなければ、行動の規制は形骸化します。トランプはこれに対して全く気にしていないようです。トランプが指名した商務長官候補ハワード・ラトニックは、彼の会社Cantor FitzgeraldがステーブルコインTetherに関連する転換社債を保有しているため、暗号通貨作業部会への参加を回避するかどうかを明らかにしていません。機関内部には監視と盗用の問題が存在し、将来的に経済的損失を引き起こす可能性があります。例えば、ドイツのフィンテック企業Wirecard AGが倒産した際、その規制機関BaFinの職員がWirecardの株式でインサイダー取引を行っていた疑いが持たれています。私たちは、トランプが任命した暗号通貨責任者デビッド・サックスが消費者保護を強化することを約束する際に、その約束を実現することを期待しています。

少なくとも、すべての政治家にとって基本的な要求は、就任初日から自らのすべての投資を「ブラインド・トラスト」に預けること、そして彼らの親族の投資にも制限を設けることです。「ブラインド・トラスト」とは、政治家が資産を第三者に管理させることで、投資操作に影響を与えないようにする資産管理の方法を指します。これは、ローザンヌ大学の企業ガバナンス専門家ガレン・マルカリアンの提案です。懸念されるのは、現在のエリート層の一般的な態度が、政治家やその関連投資に対する監視を強化するのではなく、むしろ減少させることを主張していることです。

トランプは暗号通貨界と連携して「去銀行化」と呼ばれる現象を激しく批判しています。一方で、マスクは自らルールを設定することを許され、DOGEを武器に政府に対抗しています。これは典型的な過剰な自信であり、特にこの大統領が詐欺罪で有罪判決を受けたことを考えると、なおさらです。これは一般市民に対して傲慢な信号を送っており、内部情報を持つ特権階級に対して法律がより寛容であることを示しています。暗号通貨分野の規制の混乱は明らかですが、その混乱を解消するための行動はほとんど見られません。