Coinmetrics | 牛市はまだピークに達していない

この記事は暗号谷Liveからのもので、著者：Nate Meddrey & Coin Metrics Team、翻訳：李翰博。

声明：オンチェーン指標を用いた市場分析は比較的新しい分野であり、指標はまだ発展と改善の途中です。過去の成功が未来の成功を保証するものではないことに注意することが重要です。これらの指標は歴史的に参考価値がありますが、必ずしも永遠にそうであるとは限りません。各図の緑と赤の指標エリアは過去のパフォーマンスに基づいていますが、正確な科学ではありません。この記事は投資のアドバイスを構成するものではありません—ご自身で調査を行い、これらの指標を全体の一部として考慮してください。

2020年12月、私たちは「ビットコインオンチェーン指標入門」を発表し、オンチェーンデータを使用して暗号市場のサイクルを測定する方法を詳しく説明しました。それ以来、多くのことが起こり、ビットコイン（BTC）とイーサリアム（ETH）のいくつかの新しい歴史的高値が記録されました。今週の「ネットワーク状態」では、報告書のいくつかの図を更新し、2021年以降の状況がどのように変化したかを見ていきます。

市場価値と実現価値の比率

市場価値と実現価値の比率（MVRV）は、ビットコイン市場のトップとボトムを測定する最も信頼性の高いオンチェーン指標の一つです。

MVRVの計算方法は、ビットコインの市場価値をその実現価値で割ることです。実現価値は、ビットコインの総コスト基準の総近似値とも考えられます。MVRVを計算する際には、流動性供給に基づいて計算された自由浮動市場価値を使用します。

歴史的に見て、市場価値と実現価値の比率が高いことは、ビットコイン価格が局所的な最大値に近づいていることを示し、比率が低いことは価格が局所的な最小値に近づいていることを示します。MVRVが1を下回ることは、歴史的にビットコインを購入するのに最適な時期でした。MVRVが継続的に増加することは、現在の感情が推定された総コスト基準に対して急速に増加していることを示し、MVRVが継続的に減少することはその逆を示します。

2021年1月8日、BTCが初めて4万ドルに達した際、自由浮動MVRVは2.96に達しました。これは2017年6月にMVRVが3.05に達した高値と似た水準です。翌日、BTC価格は下落を始め、1月12日には34Kドルを下回りました。

2月20日、MVRVは2017年12月以来初めて3.0を突破し、2月21日には3.09のピークに達しました。これは別の局所的なピークを示し、BTC価格は2月21日に約57.5Kドルに達し、その後2月28日には47Kドルを下回りました。MVRVが3.0であることは、このサイクルの市場での局所的なピークの信号となっています（少なくとも現時点では）、以下の図の赤いエリアに示されています。

3月13日、MVRVは再び3.0に近づき、2.96に増加しました。これはBTCが一時的に6.1万ドルを超えたためです。その後、3月31日までに2.65に下落しました。これは過去2回のブルマーケットのピークの水準には達していません。

出典: Coin Metrics Network Data Pro

支出出力利益率 (SOPR)

支出出力利益率（SOPR）は、ビットコイン市場サイクルに入るための別の有利な条件を提供します。Renato Shirakashiによって2019年に導入されたSOPRは、保有者が利益を得ているか損失を出しているかを測定する指標として機能します。

SOPRは、UTXOが支出されるときのビットコインの価格と、ビットコインが作成されたときの価格の比率です。言い換えれば、売却価格を支払い価格で割ったものです。取引が発生するたびに、その取引におけるUTXOが作成されたときのビットコイン価格と、それらが支出されたときの価格を比較できます。両者の比率を作成することで、UTXO内のビットコインが利益を得ているか損失を出しているかを推定する簡単な方法を提供します。

SOPRは単一のUTXOに対して計算できますが、一群のUTXOに対しても計算できます。下の図は、すべてのUTXOの総合SOPR比率を日次で集計したものです。SOPRは相対的に変動が大きいため、この指標は7日移動平均値でも処理されています。

歴史的に見て、高いSOPRはビットコイン価格が局所的な最大値に達していることを示唆します。逆に、理論的には低いSOPRは保有者が損失を出して売却していることを示し、これは歴史的に購入の好機を示しています。SOPRが1であることも特に注目すべきであり、これは利益を得て売却から損失を出して売却への臨界点を示唆します。

1月8日、BTC価格が4万ドルを突破する際、BTC SOPR（7日平均）は1.048に達し、2017年12月以来の最高水準となりました。翌日、BTC価格は下落を始め、1月26日にはSOPRが1.004にまで下がり、BTC価格は3.26万ドルでした。その後、1.015前後に反発しました。

出典: Coin Metrics Network Data Pro

保有波

ビットコイン（BTC）のコインエイジ分布帯、別名「保有波」は、BTCの供給量が最後にオンチェーンで移動してからの時間によってグループ化されたものを示しています。Unchained Capitalによって2018年に導入された保有波は、過去数年間にわたるBTCの供給量の変化をマクロ的に見ることができます。ビットコインの供給量の変動は市場サイクルの指標として機能します。

図の底から上に読むと、赤いカラーバンドは最近相対的に活発な供給量の割合を示しており、1日未満から90-180日までの範囲です。「1-7日」帯は、少なくとも1日以上保有されているが7日未満の供給量が総供給量に占める割合を示し、「7-30日」は少なくとも7日以上保有されているが30日未満の供給量の割合を示します。

歴史的に見て、短期供給量の変動は市場サイクルのトップでピークに達します。例えば、2017年12月、ビットコイン価格が20000ドルに近づくにつれ、90日以内にオンチェーンで移動したBTC供給量は32％を超えました。2018年8月には、90日以内に移動した供給量の割合は約15％にまで減少しました。

逆に、図の上から下に見ると、相対的に長い間移動していない供給が示されています。これらの長期バンドは、価格がサイクルのボトムに達するにつれて広がり、サイクルのトップに達する際には収縮します。これは長期保有者が売り始めるためです。トップの深緑の帯は、発行時の取引を除いて一度もオンチェーンで移動したことがないコインを示し、総供給量の約12％を占めています。

2013年と2017年のブルマーケット期間中、短期保有供給量（保有180日以下）の割合は約50％に達し、これは市場のトップと一致します。長期保有供給量が60％を超える期間は通常、購入の好機です。

1月8日、短期供給の活発度が急増し、約5％の供給が過去1-7日内に活発でした。3月31日までに、過去180日内に活発だった供給は約36％にとどまり、2018年1月の約50％のピークからはまだ遠く及びません。

出典: Coin Metrics Network Data Pro

ネットワークデータ分析

まとめ指標

出典: Coin Metrics Network Data Pro

過去一週間、ETHのオンチェーン活発度が急増し、ETHは歴史的な新高値を突破しました。先週のETH活発アドレスは日平均611.Kで、2月以来初めて60万を突破しました。取引手数料は引き続き上昇し、平均で2600万ドルに達しました。そして、価格と手数料の増加を受けて、Ethereumのハッシュレートは週次で5.2％増加し、再び歴史的な新高値を記録しました。

ビットコイン（BTC）の今週のパフォーマンスも大部分は良好で、市場価値と実現価値はそれぞれ7.6％と3.0％増加しました。手数料は週次で22.8％増加し、日平均510万ドルに達しました。今週のハッシュレートはわずかに減少しましたが、依然として歴史的な高水準を維持しています。

出典: Coin Metrics Network Data Charts

2020年夏以来、ETHで評価されたEthereumネットワークの中央値の送金価値は急上昇しており、これは分散型金融（DeFi）の台頭によるものかもしれません。ビットコインで評価された中央値の送金価値は2021年に減少していましたが、これは価格が上昇したためです。

出典: Coin Metrics Network Data Charts

2020年夏以来、ETHの1日あたりの送金数はBTCとのギャップを縮小しています。しかし、BTCの1日あたりの送金数は約926,000で、ETHは約854,000です。

出典: Coin Metrics Network Data Charts

2020年7月以来、スマートコントラクトによる送金のETHの数量も大幅に増加しており、これもDeFiの影響かもしれません。平均して、毎日3-5MのETHがスマートコントラクトによって送金されており、これはETHのオンチェーン移転価値の急増の大部分を占めています。

出典: Coin Metrics Network Data Charts